美容学校講師のブログ講義(香粧品化学)

美容師を目指す向けて努力している学生のために、少しでもお役に立てればと、香粧品化学やアンチエイジングに関するお話をしていきます。

美容師国家試験解説ー11

第26回美容師国家試験香粧品化学より

ヘアリンス剤に関する次の文章の( )内に入る語句の組合せのうち、正しいものはどれか。
「ヘアリンス剤に用いられる第四級アンモニウム塩は( A )界面活性剤であり、( B )に吸着して毛髪を保護して柔軟にし、( C )の発生を防止する効果がある。」
( A - B - C )
① 陰イオン - キューティクル - 静電気
→×  陰イオン界面活性剤は石鹸に代表される洗浄効果をもつ物質です。したがって、リンス剤ではなくシャンプー剤に用いられます。


陽イオン - コルテックス  - かゆみ
→× 髪の断面において、その中心部がメデュラ、1番外側がキューティクル、その中間がコルテックスになります。コルテックスに作用するということは、薬剤が髪の内部に浸透していることになりますが、リンス剤はあくまでも表面にしか作用しません。


③ 陰イオン - コルテックス  - フケ
→× リンス剤には陽イオン界面活性剤が用いられ、内部のコルテックスではなく外側のキューティクルに作用します。また、フケ防止にはお馴染みのジンクピリチオンが用いられます。つまり、この選択肢はすべてにおいてよろしくありません。


陽イオン - キューティクル - 静電気

→◯(正解) 第四級アンモニウム塩といえば香粧品化学では特に代表的な陽イオン界面活性剤です。そして陽イオン界面活性剤は帯電防止効果をもちリンス剤に利用されること、そして、リンス剤は髪の表面(要するにキューティクル)に作用することから適切な選択肢です。


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美容師国家試験解説ー10

第26回美容師国家試験香粧品化学より

香粧品用色材に関する次の研究のうち、誤っているものはどれか。
① 微粒子酸化チタンは、紫外線遮断剤として用いられる。

→◯ 酸化チタンは白色顔料ですが、微粒子酸化チタンは紫外線遮断剤として使われます。


② 酸化鉄、カーボンブラック、グンジョウは体質顔料である。

→×(正解) 酸化鉄(黒または赤)、カーボンブラック(黒)、グンジョウ(青)はいずれも着色顔料です。なお、体質顔料はタルク、カオリン、マイカ、セリサイトが該当します。


③ 雲母チタンは、光輝性顔料である。

→◯ 雲母チタンは光輝性顔料、酸化チタンは白色顔料です。


④ 使用できるタール色素は、省令で定められている。

→◯ 染料や有機顔料がこれに該当します。省令で定められていることから法定色素とも呼びます。


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美容師国家試験解説9

第26回美容師国家試験香粧品化学より

次のアルコール類のうち、人体への毒性が強く、化粧品への配合が禁止されているものはどれか。


メタノール

→◯(正解)メタノールは少量でも強い毒性を示す劇薬です。一切の例外なく用いられることがありません。

エタノール

→× エタノールは多くの香粧品に使用されている水性原料です。

プロピレングリコール

→× プロピレングリコールは保湿剤として香粧品に使用されています。

グリセリン

→× プロピレングリコール同様、保湿剤として使用されています。


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国家試験解説ー8

第25回美容師国家試験化学より

界面活性剤に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
① 陰イオン界面活性剤は、洗浄力がすぐれているものが多い。
→◯ 一般に洗浄を期待するために用いる界面活性剤は陰イオン界面活性剤であり、石けんはその代表例です。
② 非イオン界面活性剤は、クリームや乳液の乳化剤として用いられる。
→◯ 香粧品化学で出てくるクリームや乳液には大体の場合、非イオン界面活性剤が用いられています。
陽イオン界面活性剤は、毛髪の柔軟効果や帯電防止効果があるため、ヘアリンスやシャンプーに用いられるものがある。
→◯ 陽イオン界面活性剤の最も代表的な例は第四級アンモニウム塩です。これも含めてリンス剤ならではの静電気防止効果は陽イオン界面活性剤によるものです。
④ 両性界面活性剤のイミダゾリン型は、皮膚刺激性や眼粘膜刺激性が高いため、香粧品にはあまり用いられない。
→×(正解) 両性界面活性剤にはベタイン型とイミダゾリン型があります。現行の香粧品化学ではこの両者の名称すらほとんど出なくなりました。いずれにせよ、両性界面活性剤は「低刺激」であることが特徴であり、ベビーシャンプーにもよく用いられます。

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国家試験解説ー7

第25回美容師国家試験香粧品化学より

酸化染毛剤に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
①酸化染毛剤は、化粧品に分類される。
→×(正解) 酸化染毛剤は永久染毛剤ともよばれ、パッチテストも義務づけられることから医薬部外品になります。

②酸化染毛剤は、使用にあたってパッチテストを行う必要がある。
→○ 酸性染毛料など、他の染毛剤は化粧品に分類されパッチテストは不要ですが、酸化染毛剤についてはパッチテストの実施が必要です。

③酸化染毛剤に用いられる代表的な酸化染料は、パラフェニレンジアミンである。
→○ 酸化染料で覚えておいてほしい物質名の一つです。

④2剤型の場合、通常、第1剤(1液)には酸化染料、第2剤(2液)には過酸化水素水が用いられる。
→○ 過酸化水素水から生じる酸素がメラニン色素に作用することで染毛や脱染が成立します。1剤型では第2剤に代わり、大気中の酸素が時間をかけてメラニン色素に作用します。

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過去問解説⑥

第25回美容師国家試験 香粧品化学より


香粧品に用いられる物質とその主な配合目的に関する次の組合せのうち、誤っているものはどれか。

① パラオキシ安息香酸エステル及びそのナトリウム塩 - ビタミン剤

→×(正解) パラオキシ安息香酸エステルは「パラベン」とも呼ばれ、代表的な防腐殺菌剤です。

② グリセリン - 保湿剤

→〇 尿素ヒアルロン酸、コラーゲンなどとともに代表的な保湿剤です。

③ ブチルヒドロキシアニソール - 酸化防止剤

→〇 「ブチルヒドロ」の表現がつくものは酸化防止剤と考えて結構です。

④ クロルヒドロキシアルミニウム - 収れん剤

→〇 アルミニウムや亜鉛を含む成分は収れん作用をもっています。


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過去問解説⑤

第25回美容師国家試験香粧品化学より引用

 

香粧品用色材に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

① タルクは、主に紫外線遮断材として用いられている。

→× タルクは展延性に優れた体質顔料です。また、紫外線を散乱・反射させる性質ももっていますので、「紫外線散乱剤」としても使用されます。

② 雲母チタンは、光輝性顔料として用いられている。

→〇(正解) 雲母チタンは光輝性顔料、酸化チタンは白色顔料、微粒子酸化チタンは紫外線散乱材です。

③ 酸化鉄、カーボンブラック、グンジョウは、体質顔料とよばれている。

→× 酸化鉄(赤または黒)、カーボンブラック(黒)、グンジョウ

(青)はいずれも代表的な着色顔料です。

④ 香粧品に用いてよいタール色素とその規格は、美容師法で定められている。

→× タール色素は有機合成色素ともよばれ、法的な制限がありますが、その法律は美容師法ではなく、医薬品医療機器等法です。


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過去問解説④

第24回美容師国家試験香粧品化学より

香粧品に用いられる物質とその主な配合目的に関する次の組合せのうち、誤っているものはどれか。

① システイン - 酸化剤

→×(正解) 「システイン」はパーマネントウェーブ用剤の第1剤であるため、還元剤になります。「チオグリコール酸」とともに第1剤の代表例ですのでよく覚えておきましょう。

② ベンゾフェノン誘導体 - 紫外線吸収剤

→〇 「ベンゾフェノン誘導体」および「パラアミノ安息香酸」は紫外線吸収剤の代表例です。

③ ジブチルヒドロキシトルエン - 酸化防止剤

→〇 香粧品化学に登場する「ブチルヒドロ」の文字が入る物質は酸化防止剤と考えて結構です。

④ パラフェノールスルホン酸亜鉛 - 収れん剤

→〇 この物質も含めて亜鉛系やアルミニウム系の物質の多くは収れん剤になります。


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過去問解説③

第24回出題香粧品化学

 

香粧品に用いられる油脂に関する次の組合せのうち誤っているものはどれか。

① 植物油 - オリーブ油

→〇 植物油(液体)の代表例として「オリーブ油」、「ヒマシ油」は押さえておきましょう。

② 植物脂 - ヤシ油

→〇 植物脂(固体)の代表例として「ヤシ脂」、「カカオ脂」、「モクロウ」は押さえておきましょう。特にモクロウはロウ類と思われがちですが、 植物脂に分類されるので要注意です。

③ 動物油 - ミンク油

→〇 動物油はミンク油も重要ですが、今の課程ですと、サメの肝油に由来する「スクワレン」が特に重要です。

④ 動物脂 - モクロウ

→× これが正解です。動物脂は「馬脂」と「牛脂」を押さえておけば十分です。モクロウは既に紹介の通り、植物脂になります。


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過去問解説②

第24回美容師国家試験

石けんの製造に関する次の文章の( )内に入る語句の組み合わせとして正しいものはどれか。

一般の石けんは、油脂に( A )を加えて( B )する( C )とよばれる方法で製造される。

(AーBーC)
① 酸 ー 中和 ー 塩析法
→× 石けんは油脂に「酸」ではなく「アルカリ」を加えます。これは「中和」ではなく「加水分解」にあたり、この方法は特に「塩析法」とは言わず「けん化」と呼びます。

② アルカリ ー 加水分解 ー けん化
→◯ ①の説明にそのままフィットしますのでこれが正解です。

③ 酸 ー 中和 ー けん化
→× 酸をアルカリ、中和を加水分解に直せば正しいです。

④ アルカリ ー 加水分解 ー 乳化
→× 乳化は界面活性剤によって油が水に溶けやすくなることであり、石けんの製法とは無関係です。


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過去問解説①

第24回化学

酸化剤と還元剤に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

① パーマネントウェーブ用剤の第1剤に使用されているチオグリコール酸は、酸化剤である。

→× チオグリコール酸が第1剤であることは正しいですが、あくまでも還元剤です。

② パーマネントウェーブ用剤の第2剤に使用されているチオグリコール酸は、還元剤である。

→× チオグリコール酸が還元剤であることは正しいですが、第1剤です。

③ パーマネントウェーブ用剤の第2剤に使用されている過酸化水素水は、還元剤である。

→× 過酸化水素水は第2剤ですが酸化剤です。

④ ブリーチ剤や染毛剤に使用されている過酸化水素水は、酸化剤である。

→〇 ブリーチ剤は今の教科書では「脱色剤」に相当します。過酸化水素から生じる酸素がメラニン色素を分解し、毛髪の色を脱色します。

 

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その他の特殊香粧品

今回で教科書範囲は一通り終わりますので今後は美容師国家試験の過去問研究や具体的な香粧品を紹介したいと思います。

「美白用香粧品」としてはメラニン色素の合成を促進するチロシナーゼを阻害する物質の研究もされているようですが、現在の市販品には「アルブミン」や「ソウハクヒエキス」などが美白成分として用いられています。

「制汗・防臭剤」は腋の下のアポクリン腺からの分泌物に由来する不快な臭いを緩和するために用います。微生物が関係しているために、これを抑制する「殺菌剤」、発汗を抑制するために「収れん剤」、快適な香りでマスキングするための「香料」が配合されます。収れん剤のパラフェノールスルホン酸亜鉛やアラントインクロルヒドロキシアルミニウムなどは以前にも紹介しましたね。

「ニキビ用香粧品」は医薬部外品に指定されていて、サリチル酸などの角質溶解剤や、その他収れん剤や殺菌剤が配合されています。

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サンケア製品~日焼け防止のお話~

サンケア製品についてです。

日焼けには2種類あります。
1つは長波長の紫外線「UVA」による「サンタン 」。これはメラニン色素の増加により肌が黒くなるタイプです。
もう1つは中波長の紫外線「UVB」による「サンバーン」。これは急性の「炎症」を伴います。

日焼けはしたいけど、痛いのは嫌だ…という場合は「UVBのみをカット」する「サンタン製品」を使います。
日焼けそのものが絶対嫌だ…という場合は「UVA、UVBともにカット」する「サンスクリーン製品」を使います。

日焼け防止剤の効果を示す指標には「PA」と「SPF値」が用いられます。前者は+の個数で表記され、UVAからの防御力を表します。最大でPA++++ですが、PA++くらいでも十分です。後者は10~50+の数値で表記され、UVBからの防御力を表します。SPF20~30くらいで十分な日焼け防止が可能です。

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芳香製品~俗に言う香水関係~

有能な溶媒であるエタノールに香料を溶解させたものが芳香製品であり、香料の比率によって細分化されます。

「香水」は香料の配合比率が最も高く、15~25%。濃度が高いため、衣服に染みを残してしまうことがあるので要注意。
「パフュームコロン」は香水に次いで配合比率が高く、においの持続時間が長いことが特徴。
「オードトワレ」はさらに香料の配合比率を下げたものであり、「オーデコロン」は配合比率が最も低く、持続時間は短いながら、その分だけ使いやすさがあります。

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ヘアカラー製品~永久染毛剤~

ヘアカラー製品の締めくくりです。
実質的には酸化染毛剤になります。低分子の染料を毛皮質の奥深くに浸透させ、これを酸化および重合(分子をたくさん結合させて大きな分子にしていく)することで発色します。「過酸化水素」がアルカリ剤の中で分解して生じた酸素がメラニン色素を分解し、染料を重合させます。

酸化染毛剤は次の3種を押さえておきましょう。
「染料中間体」→酸化されて発色する染料。代表例の「パラフェニレンジアミン」はいかにも染料らしい物質名ですね。
「調色剤」→カップラーともよばれ、染料中間体とともに酸化されると、染料中間体のみのときとはまた異なる色調を呈します。
「直接染料」→ 酸化される前の段階ですでに有色な染料です。

また、酸化染毛剤は「医薬部外品」に分類され、「パラフェニレンジアミン」はアレルギー反応を引き起こすことがあるため、「パッチテスト」が義務付けられています。

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