美容学校講師のブログ講義(香粧品化学)

美容師を目指す向けて努力している学生のために、少しでもお役に立てればと、香粧品化学やアンチエイジングに関するお話をしていきます。

美容師国家試験解説21

第29回より引用

エタノールに関する次の文章の( )内に入る語句の組合せのうち、正しいものはどれか。

 

エタノールの( A )は極性をもつために、エタノール分子間で( B )が生じている。エタノールと水を混ぜると、エタノール分子は水分子によって取り囲まれ、( C )を作る。

 

① A=エチル基 - B=水素結合 - C=水和分子

 →× まずエタノールの構造を示性式で表しますとCHのエチル基とOHのヒドロキシ基(水酸基)によるCHOHとなります。このうちO(酸素)原子とH(水素)原子の両者による共有結合において、共有電子対が電気陰性度の大きいO原子の方に引き込まれることから少しだけーイオン(δー:デルタマイナス)、結果的に電子を取られかけているH原子は少しだけ+イオン(δ+:デルタプラス)という状態になります。この状態を極性と呼びます。したがって、極性をもつのはエチル基ではなくヒドロキシ基ということになります。

 

② A=エチル基 - B=イオン結合 - C=水和イオン

 →× 影響力のある極性をもつのはエチル基ではなくヒドロキシ基であるということは①にてお伝えしました。そして、あるエタノール分子のヒドロキシ基においてδ-であるO原子と、すぐ近くに存在するエタノール分子のヒドロキシ基においてδ+であるH原子とが引き合う(分子間力のひとつ)ことが起こります。完全なる+イオンとーイオンが引き合うのであればイオン結合ですが、少し(δ+)のH原子と少しーイオンなδーが引き合う場合、これはイオン結合ではなく、水素結合と呼ばれます。つまり、エタノール分子にイオン結合は存在せず、代わりに水素結合が働いています。

 

③ A=ヒドロキシ基 - B=水素結合 - C=水和分子

 →〇(正解) ①②よりエタノール分子内のヒドロキシ基のH原子とO原子の間に生じた極性により、エタノール分子同士が水素結合を形成するということはお伝えしました。ここに水(HO)分子が混合すると、水分子にもH原子とO原子の間に極性がありますので(要するにH-O間の共有結合には極性が生じる)、エタノールのO原子(δー)に水分子のH原子(δ+)が、エタノールのH原子(δ+)に水分子のO原子(δー)が引き寄せられ、結果的に水分子がエタノール分子を取り囲むようになり、これを水和と呼びます。

 

④ A=ヒドロキシ基 - B=共有結合 - C=水和イオン

 →× エタノール分子中に共有結合は存在しますが、この結合はイオン結合同様にあくまで「分子内」にあるものです。分子間ではありません。なお、分子間の結合としては水素結合とファンデルワールス力くらいを知っておけば十分です。なお、ファンデルワールス力とは同一分子間でなんとなく引き合う力ですのでごく弱いです。

 

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