美容学校講師のブログ講義(香粧品化学)

美容師を目指す向けて努力している学生のために、少しでもお役に立てればと、香粧品化学やアンチエイジングに関するお話をしていきます。

美容師国家試験解説70

第36回美容師国家試験より引用。

 

パーマネントウェーブの原理に関する次の文章の( )に入る語句の組み合わせのうち、正しいものはどれか。

 

毛髪を形成するケラチンの架橋構造(側鎖)の( A )結合を第1剤(1液)に含まれるチオグリコール酸などの( B )により切断し、次に第2剤(2液)を作用させると、含まれる( C )などの薬剤の働きにより架橋構造にずれを生じた状態で( A )結合が復元し、ウェーブが形成される。

 

① A:シスチン  B:還元剤  C:臭素酸カリウム

→〇(正解) ケラチンを構成するアミノ酸の中にはチオール基(ーSH)をもつシステインが含まれており、システインのチオール基どうしで脱水素反応を経てシスチン結合(-S-S-:ジスルフィド結合ともいう)が形成されています。パーマをかける場合は、このシスチン結合を水素を与えることでもとのチオール基に戻して切断する還元剤が第1剤として必要になります。そこでロッドに毛髪を巻き付けてから臭素酸カリウムなどの酸化剤でシスチン結合を再形成させて一連の作業を終えることになります。

 

② A:シスチン  B:酸化剤  C:アンモニア

→× 第1剤はあくまで酸化剤です。なお、アンモニアは毛髪を膨潤させるために第1剤

に加えるアルカリ剤です。

 

③ A:ペプチド  B:還元剤  C:アンモニア

→× ペプチド結合はシステインに限らず、すべてのアミノ酸同士で形成される、タンパク質中に見られるごく一般的な化学結合であり、これは還元剤を用いても切断不可能です。

 

④ A:ペプチド  B:酸化剤  C:臭素酸カリウム

→× 第1剤による切断の対象はシスチン結合であり、臭素酸カリウム過酸化水素のような酸化剤が第2剤として使用されます。