第30回国家試験より引用
酸化剤と還元剤に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 過酸化水素水は、ヘアブリーチ剤や染毛剤などに酸化剤として用いられる。
→〇 高校化学の範囲では、過酸化水素水は酸化剤にも還元剤にもなりますが、香粧品化学の中では基本的に酸化剤としてのみ用いられます。この過酸化水素水の酸化力により染料中間体のパラフェニレンジアミンなどは発色し、毛髪内のメラニン色素が分解されます。
b チオグリコール酸は、パーマネントウェーブ用剤の第1剤(1液)に配合され、毛髪のケラチンのシスチン結合を還元して切断する。
→〇 毛髪内の中で最も安定感のある(=結合力が強い)化学結合がシスチン結合(ジスルフィド結合、S-S結合)も、アルカリ条件下にて還元剤を用いると切断することができます。
c システインは、パーマネントウェーブ用剤の第2剤(2液)に配合され、毛髪の切断されたシスチン結合を再結合する。
→× シスチン結合を再形成する際には酸化剤が必要であり、それはパーマネントウェーブ用剤においては第2剤であることに誤りはありませんが、システインは第1剤であり、第2剤にも用いられるのは過酸化水素水や臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムです。
d 次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、還元作用があるので、金属製品や動物性繊維の布地の消毒に適している。
→× 次亜塩素酸ナトリウムは強い酸化作用をもつ消毒剤です。また、漂白作用も伴いますので使用には注意が必要です。
なお、本問の選択肢は正しいものの組合せとして
① aとb ② bとc ③ cとd ④ aとd
とありますので、①が正解となります。