美容学校講師のブログ講義(香粧品化学)

美容師を目指す向けて努力している学生のために、少しでもお役に立てればと、香粧品化学やアンチエイジングに関するお話をしていきます。

美容師国家試験解説39

第31回美容師国家試験再試験より引用。

パーマネントウェーブ用剤に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。

a ケラチンのシスチン結合は、酸化剤を作用させると切断できる。

b 一浴式パーマネントウェーブ用剤には、二浴式パーマネントウェーブ用剤第1剤の有効成分と第2剤の有効成分の両方が含まれている。

c 二浴式パーマネントウェーブ用剤第1剤の有効成分のうち、システインはチオグリコール酸よりウェーブの形成力が弱い。

d 二浴式パーマネントウェーブ用剤第2剤の有効成分のうち、過酸化水素水は臭素酸ナトリウムに比べて酸化力が強い。

① aとb→✕
aは、シスチン結合は『還元剤』によって切断され、『酸化剤』により再形成されるため誤りです。
bは、一浴式は第1剤によって還元、つまりシスチン結合を切断した後、第2剤である酸化剤は用いず、空気酸化によるシスチン結合の再形成することが特徴であるため誤りです。

② bとc→✕
bは①で説明致しました通り誤りです。なお、そもそもの話しとして第1剤の還元剤と第2剤の酸化剤を予めブレンドしておいたりしたら、その両者の間で酸化還元反応が起こり、互いに使用前から消費しておりますのでやはり変です。
cは、還元剤の効果はチオグリコール酸の方が強いことから正しいです。なお、システインアミノ酸の一種であり、メチオニン同様に側鎖に硫黄原子が存在していることが特徴です。

③ cとd→○(正解)
cが正しいことは既に説明致しました。なお、システインはウェーブ形成力こそチオグリコール酸には及びませんが、アミノ酸であるため安全性は高いです。
dは、過酸化水素水は比較的強い酸化剤として知っておいて下さい。もちろん正しい内容です。

④ aとd→✕
aの誤りについては説明致しましたが、このシステインが二分子間で硫黄同士で結合したものがシスチン結合(大学入試の化学ではジスルフィド結合、生物ではSーS結合と呼ぶのが一般的です)です。
dは内容こそ正しいですが、過酸化水素水の酸化力によって毛髪のメラニン色素が分解されやすく、パーマネントウェーブ用剤として用いる際には、毛髪の脱色が起こらないように注意が必要です。

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