美容学校講師のブログ講義(香粧品化学)

美容師を目指す向けて努力している学生のために、少しでもお役に立てればと、香粧品化学やアンチエイジングに関するお話をしていきます。

美容師国家試験解説86

第38回美容師国家試験より引用

 

有機溶媒に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a 有機溶媒は、水に溶けない油分や樹脂などを溶かす溶媒として用いられる。

b ネイルエナメルリムーバー中の有機溶媒は、爪の部分を保護する。

c 有機溶媒は、顔料を溶解する。

d エタノールは、香粧品に用いられる有機溶媒の一つである。

 

① aとb →× 水に対して溶けにくい油性原料に有効な溶媒が有機溶媒であることからaは正しいです。一方で、カラーエナメルやそのネイルエナメルリムーバーを連続して使用すると、爪に含まれる水分や油分までもが除去されて脆くなることから、「爪の部分を保護する」という表現は不適切なものとなり、bは誤文です。なお、ネイルエナメルリムーバーにより爪のつやが失われつつある場合、ネイルクリーム(ネイルトリートメント)を週2~3回程度使用し、水分と油分の補給をする必要があります。

 

② bとc →× bについては①にて説明済みですのでcについて検討してみると、「顔料が有機溶媒に溶ける」という主旨の内容であり、顔料は無機溶媒(=水)にも有機溶媒にも不溶性であることから、cもまた誤文ということになります。

 

③ cとd →× ②の説明より、cは誤文と確定しています。dについてですが、エタノール自身は水と任意に混ざって溶ける性質がある一方で、香粧品で幅広く使用されている有機溶媒ですから、このdは正しいということになります。

 

④ aとd →〇(正解) ①~③の解説にて、bとcが誤りであり、aとdが正しい内容ですので、この④を選んだ人が勝ちです。