美容学校講師のブログ講義(香粧品化学)

美容師を目指す向けて努力している学生のために、少しでもお役に立てればと、香粧品化学やアンチエイジングに関するお話をしていきます。

美容師国家試験解説88

第39回美容師国家試験より引用

 

界面活性剤及び界面活性剤を含有する香粧品に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

a バニシングクリームは、O/W型のクリームである。

b 石けんは、グリセリンを酸でけん化するとできる。

c 陰イオン(アニオン)界面活性剤を水に溶かすと、親水性部分は静電気を帯びる。

d 第4級アンモニウム塩は、毛髪のキューティクルに吸着して被膜を形成する。

 

① aとb→× 

バニシングクリームは塗布するとスッと消えていく(vanishi)使用感からそのように呼ばれるのですが、それは気化する水分が多く、気化しない油分がごく少ない水中油型(O/W型)の弱油性クリームであるがゆえのことです。そのため、aは正しい文ということになります。また、石けんは油脂を酸ではなくアルカリで分解して得ることができ、この反応をけん化と呼びます。このとき、石けんと同時にグリセリンが出てくることから、グリセリンから石けんを得るというような内容のこの文はやはり正しくありません。

② bとc→×

bが誤文であることは①で説明済みですが、石けんを得るときに用いるアルカリが水酸化ナトリウムであれば硬質石けん、水酸化カリウムであれば軟質石けんであることも知っておいて損は無いでしょう。そして、cの文ですが、界面活性剤の分類は親水性部分の水溶液中での電荷を根拠に分類しています。従って、「陰イオン」ということは、親水性部分が「-(マイナス)(=負)の電荷をもつ」ということになりますので、「正電気」は帯びておりません。

③ cとd→×

cは②より誤文です。dについてですが、第4級アンモニウム塩といえば、帯電防止効果(平たく言えば静電気防止)代表的な陽イオン(カチオン)界面活性剤であり、リンス剤に含まれて毛髪のキューティクルに吸着することから正しい内容ということになります。なお、陽イオン界面活性剤には他にも、ベンザルコニウム塩化物のように殺菌作用を示すタイプもありますので、これもまた合わせて覚えておきましょう。

④ aとd→〇(正解)

①~③よりaとdが正文、bとcが誤文ということになります。従って、この④が正解になります。