美容学校講師のブログ講義(香粧品化学)

美容師を目指す向けて努力している学生のために、少しでもお役に立てればと、香粧品化学やアンチエイジングに関するお話をしていきます。

美容師国家試験解説61

第35回美容師国家試験より引用

 

パーマ剤(パーマネント用剤)に関するつぎの記述のうち、正しいものはどれか。

① パーマ剤に使用されているシステインは、酸化剤である。

→× システインの側鎖にはチオール基(-SH)があり、ここから電離する水素イオンが毛髪内のシスチン結合(-S-S-)を切断(-SH+HS-)します。シスチン結合に対してい「水素を与える」ことからシステインは還元剤としてはたらいていることになります。また、ここで毛髪をロッドに巻きつけることから第一剤であることも合わせて理解しておきましょう。

 

② パーマ剤に使用されている臭素酸ナトリウムは、還元剤である。

→× 臭素酸ナトリウム,臭素酸カリウム過酸化水素は香粧品において代表的な酸化剤であり、切断されているシスチン結合を元に戻す作用を示します。なお、「一浴式」のパーマにおいては、大気中の酸素の酸化力によりシスチン結合を回復させるため、第一剤の還元剤のみ使用し、第二剤は使用しません。

 

③ パーマ剤に使用されているモノエタノールアミンは、アルカリ剤である。

→〇(正解) 毛髪を膨潤させるためには、毛髪内のイオン結合を解消する必要があり、アルカリ剤はそのために使用されるため、還元剤とともに第一剤に含まれます。一般にモノエタノールアミンは、アンモニアに比べてアルカリの性質は弱いですが、不揮発性(=気化しにくい)ため、長時間の施術においても効果を維持できます。一方で、不揮発性であるがために、使用後は十分に洗い流す必要があります。

 

④ パーマ剤に使用されているチオグリコール酸は、界面活性剤である。

→× チオグリコール酸は代表的な還元剤です。システインに比べ、その効果は強いですが、刺激が強いため、地肌が弱い人には使用しにくい側面があります。