美容学校講師のブログ講義(香粧品化学)

美容師を目指す向けて努力している学生のために、少しでもお役に立てればと、香粧品化学やアンチエイジングに関するお話をしていきます。

ヘアカラー製品~脱色剤と脱染剤~

今日は脱色剤と脱染剤の違いについて。

「脱色剤」は毛髪のもとの色を脱色、つまり、「メラニン色素の分解」を目的としたものです。アルカリ剤と「過酸化水素」の作用によって生じた酸素がメラニン色素を分解することにより脱色が起こります。

「脱染剤」は脱色剤よりも作用が強く、染毛した毛髪内の色素を分解します。毛髪を染め直したいときなどに使用します。成分的には脱色剤同様のアルカリ剤や過酸化水素に加え、「過硫酸塩」が配合されます。

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ヘアカラー製品~染毛料~

今日は染毛料の話です。

「一時染毛料」と「半永久染毛料」があります。いずれも化粧品に区分されます。

一時染毛料は毛髪表面に着色顔料などを付着させるタイプのものであり、一度のシャンプーで洗い流すことができます。

半永久染毛料には「酸性染料」や「HC(ヘアカラー)染料」が使用されます。酸性染料を用いた染毛料が酸性染毛料であり、ヘアマニキュア、カラーリンスなどがこれに該当。毛髪内に染料が浸透し留まるため、シャンプーのたびに少しずつ染料が除去されますが、2週間程度は効果が持続します。

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パーマ剤

パーマ剤については従来から出題頻度が高いです。ポイントを良く押さえておきましょう。

第1剤として「還元剤」が使われます。アルカリ条件下で毛髪内の水素結合やイオン結合が切断され、膨潤してきたところにこの還元剤を作用させると、毛髪内のシスチン結合が切断されます。そこで毛髪をロッドに巻きつけるとシスチン結合の架橋構造にズレが生じます。第1剤の役割はここまでです。主には作用の強い「チオグリコール酸」や作用がいくらか緩和された「システイン」が用いられます。

第2剤として「酸化剤」が使われます。具体的には「過酸化水素水」や「臭素酸ナトリウム」が一般的です。架橋構造にズレが生じたところでこれを用いると新しい組み合わせでのシスチン結合が形成されるため、安定したウェーブが形成されます。

このようにパーマ剤は二段階で薬剤を使うことから二浴式と称されますが、酸化剤を用いず空気酸化を待つタイプは一浴式と呼ばれます。なお、パーマ剤は化学反応を伴うことから「医薬部外品」に分類されます。

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スタイリング剤

今日はスタイリング剤についてのポイントをまとめました。

「ヘアリキッド」はエタノールを溶媒にスタイリング成分を配合した液体スタイリング剤です。スタイリング成分以外には香料や金属イオン封鎖剤(キレート剤)も含みます。

「ジェル」と「ウォーターグリース」は皮膜形成剤を含むスタイリング剤です。ジェルのゲル状(ゼリー状)の維持には増粘剤として以前にも紹介した半合成高分子化合物の「カルボキシビニルポリマー」が含まれています。ウォーターグリースはグリセリンが多く使われており、「水性ポマード」とも呼ばれ、さらっとした使用感が特徴です。

「ヘアスプレー」はすでに整えた毛髪の表面に皮膜を形成させ、髪型を維持するためのスタイリング剤です。スプレータイプですので「液化石油ガスLPG」や「ジメチルエーテルDME」などの「噴射剤」が用いられています。「皮膜形成剤」としては「ポリビニルピロリドンPVP」が使われています。

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シャンプー剤~身近だけによく知っておきましょう~

今日はシャンプー剤関連をまとめてみました。

「シャンプー剤」はわかりきってはいますが、頭皮の汚れを除去し清潔にするために使われます。清浄にするということはもちろん陰イオン界面活性剤「高級アルコール合成洗剤」などが使われています。また、ベビーシャンプーのような低刺激のものにはアミノ酸系の両性界面活性剤が使われています。

「ヘアリンス剤」は毛髪に帯電を防止(平たく言えば静電気防止)し、毛髪に光沢と柔軟性を与える効果があります。現在では代表的な陽イオン界面活性剤である「第四級アンモニウム塩」が主成分としてよく用いられています。また、さらに追加される成分としては「ふけ防止」の「ジンクピリチオン」と「清涼感を与える」ための「メントール」あたりは覚えておけるといいですね。

「ヘアトリートメント剤」はヘアリンスによるコンディショニング効果を強化したもので、有効成分が損傷した毛髪内部にまで浸透するのが特徴です。ヘアトリートメント剤のほとんどはシャンプーと併用するタイプですが、セット時などに使用する「シャンプーと併用しないタイプ」というものもあります。

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ネイルエナメル用香粧品~要はマニキュア関連~

国家試験ではそう深いところまで出題されるとは思いませんが、最低限必要なところは下にまとめておきますので覚えておきましょう。

「カラーエナメル」はかつての教材ではネイルエナメルと表現されていました。光沢をもち、接着性が高いことが求められます。その皮膜形成剤には「半合成高分子化合物」の「ニトロセルロース」が使用されますが、通常は接着性を高めるために予め爪にベースコートを塗布します。また、光沢をさらに高めるためにはネイルエナメルの塗布後に、その上にトップコートを塗布します。

カラーエナメルを剥がすためには皮膜を溶解する必要があり、これに使われるのが「エナメルリムーバー」です。アセトンや酢酸エチルといったごく代表的な有機溶媒が用いられています。

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ポイントメイクアップ香粧品

今日はアイメイクアップ香粧品に焦点を当ててみました。
国家試験での出題の可能性は高くないでしょうけど、最低限の知識事項は押さえましょう。

女子学生にとっては使い慣れて感覚的に理解できる場合もあるでしょうか。

「アイシャドー」はまぶたに塗布して顔に立体感を与えます。まぶたに使うため、安全性を考慮のうえ、「ベンガラ」、「酸化クロム」などの着色顔料や光沢を与える雲母チタンが配合されています。

「アイライナー」はまつ毛の生え際に細い線を描いて目の輪郭をはっきりさせます。基剤ではW/O型が最も古くから使われています。

「マスカラ 」はまつ毛に塗布して、まつ毛を目立たせるために使います。アイライナーよりも少し粘度が高いです。

「アイブロウペンシル」はいわゆる眉墨です。シャープペンシル型は折れやすいため、折れにくくするためにポリエチレンやミツロウを配合しています。

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おしろい類

今日はおしろい類について。
4つの基本性質
「展延性」…「タルク」により皮膚で滑らかに延びる
「付着性」…「マイカ」により皮膚によく付着する(この性質がないとぼろぼろ剥がれ落ちる)
「被覆力」…「酸化チタン」によりしみやそばかすを隠す
「吸収力」…「カオリン」により皮脂や汗を吸収する

おしろいには体質顔料の代表例「タルク、カオリン、マイカ」すべてが使われているのがわかりますね。また「酸化チタン」は代表的な白色顔料です。

一般的なおしろいは古くから使われている「粉おしろい」ですが、携帯しやすくするためにこれを圧縮成型したものぐ「固形おしろい」です。他には化粧水に粉おしろいをブレンドした「水おしろい」やグリセリンなどで粘性をもたせた「練りおしろい」などもありますね。

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化粧水のパック~ちょっとブレイクです~

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左がフェイスマスク、右がルルルン

今日は市販されているフェイスマスクに含まれてる成分を見てみることにしましょう。これまでに扱った成分が入ってますね。

まずは株式会社ジャパンギャルズSC様のフェイスマスク。茶カテキン配合で香りが良いです。教科書範囲で扱われる成分だと「グリセリン」、「ヒアルロン酸」、「コラーゲン」など保湿剤の有名どころが配合されていますね。また陰イオン型収れん剤として紹介されている「クエン酸」も含まれていることがわかります。このフェイスマスクは当方のお気に入りで主に出張先で使っておりますが、大変使い心地が良いです。

次に株式会社グライド・エンタープライズ様のルルルン(ハスカップ)、これは家内のお気に入りで北海道に行くたびに購入します。やはり「グリセリン」が配合されているのが分かります。写真が少しピンぼけ気味ですが「EDTA」が含まれているのも分かります。これは酸化防止剤でしたね。またベタインは「両性界面活性剤」のことです。少し前の教育課程では普通に教科書に記載があったのですが現行のものにはありません。

せっかく色々な成分について学習するのですからたまにはこうして実用例を見るのもいいと思いますよ。

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パック剤~自分もたまにやります~

今日はパック剤の話です。

皮膚に対して、血行促進、経皮吸収の促進、清浄作用の効果を持ち合わせていて、素材によって次のように分類されます。

「ピールオフパック」はひと昔前によく使われていたもので、ジェル状のものを皮膚に塗布してから少しすると皮膜を形成し、その後にこれをはがすというものです。皮膜形成剤としては「ポリビニルピロリドン」、「ポリビニルアルコール」などは押さえておきたいところです。

「粉末パック」は粉末成分に乳液などを加えてペースト状にしてから顔に塗布します。汚れの吸収をする「カオリン」や消炎作用のある「酸化亜鉛」などが配合されます。

「ワックスパック」は「パラフィン」を主成分とし、肌のきめを整える効果が大きいです。

その他、マッサージ店などで一般的な「オイルパック」はスクワランなどの油性原料を含んでおり、 使用後に洗い流す「ウォッシングパック」はメチルセルロースなどを配合しています。

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ネイル、まつ毛エクステンション用材料~接着剤と塗料~

昨日に引き続き、ネイルおよびまつ毛エクステンションのお話です。

まずここで使われる接着剤、実は香粧品ではありません。従って、医薬品医療機器等法による規制は受けておりません。

そしてネイル、まつ毛エクステンションの接着剤はすべて「グルー」と呼ばれる合成接着剤です。なお、商品によっては毒性のあるホルムアルデヒドを生じるものもありますので使用には気をつけて下さい。

塗料にはカラーエナメルが用いられ、「半合成高分子化合物」の「ニトロセルロース」が皮膜形成剤として使われています。そしてマニキュアを落とす際にはアセトンなどの有機溶媒を含んだ除光液を使います。これがエナメルリムーバーです。

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ネイル、まつ毛エクステンション用材料~まずは合成樹脂~

まずは合成樹脂から。
高分子化合物とはごく小さい分子がたくさん集まり結合して、大きくなった分子(一般には分子量1万以上)のことです。この場合の小さな分子を単量体(またはモノマー)、高分子化合物を重合体(またはポリマー)といいます。身近なところだと、デンプンは重合体でそのポリマーはブドウ糖です。
「合成樹脂」とは「可塑性をもった合成高分子化合物」です。可塑性とは自由に形を変えることができる(粘土みたいな?)性質です。合成樹脂はプラスチックとも言いますが、いずれにせよ加熱をすると柔らかくなって可塑性を示す「熱可塑性樹脂」が一般的ですが、加熱により硬くなる熱硬化性樹脂というのもあります。
ネイルやまつ毛エクステンションに用いられる合成樹脂はいずれも熱可塑性で、 ABS樹脂やアクリル樹脂がよく知られています。アクリル樹脂の中にはゲル状(固形)のモノマーが光を浴びて固くなる「光硬化性樹脂」というものもありますが、これも熱可塑性樹脂になるので注意してください。

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化粧水~分類と機能~

今日は身近な化粧水についてです。
大きく分けて4種類ありますので、その機能と配合成分を理解しておきましょう。

「洗浄用化粧水」
文字通り「洗浄」を目的としているので当然ながら「界面活性剤」が配合されています。具体的には皮膚に付着している香粧品や皮脂を拭き取る役割が中心です。

「収れん性化粧水」
収れん剤としてお馴染みのパラフェノールスルホン酸亜鉛などを含み、皮膚を一時的に引き締めて皮脂や汗の分泌を抑制します。

「柔軟性化粧水」
保湿をしっかりするにはこれが一番。角質層に水や保湿成分を浸透させます。従って、天然保湿因子のピロリドンカルボン酸や尿素などが含まれているものが多いです。なお、現在は弱酸性のものが主流です。

「多層式化粧水」
二層に分離しやすく、使用の際には降り混ぜることから「シェイクローション」とも呼ばれます。水と油による2液層タイプのものと、「カラミンローション」とも呼ばれる水と粉末の混合物とがあり、カラミンローションには酸化亜鉛の配合による収れん作用や消炎作用があります。

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高分子化合物~天然と合成、それらの使い道~

単元的には少し戻りますが、しばらくは配合成分を。

高分子化合物というのは分子量が大きく、10000を超える化合物ですが、平たく言え大きな分子です。何かしらの生物に由来するものを天然高分子化合物、これに少し加工をした半合成高分子化合物、完全なる人工物な合成高分子化合物とがあります。

「天然高分子化合物」
実質的にはブタやウシかる得られる「コラーゲン」、「エラスチン」、エビやカニなどの甲殻類から得られる「キトサン」あたりを覚えておけば十分です。これらは保湿剤としてはたらきます。

「半合成高分子化合物」
植物由来の天然高分子化合物であるセルロースを加工した2種類を覚えましょう。1つは「カルボキシメチルセルロース、これは増粘剤に用いられます。もう1つはニトロセルロース」、これはカラーエナメルの皮膜形成剤です。「ニトロセルロース」については国家試験でもたまに扱われています。

「合成高分子化合物」
これは最低でも次の3種をぜひ。
「ポリビニルアルコール」はパック基剤の皮膜形成剤、「カルボキシビニルポリマー」は増粘剤、「ポリビニルピロリドン」はヘアスプレーの皮膜形成剤です。また、余力があればポリアクリル酸ナトリウムの増粘剤としての作用も抑えておくと良いです。なお、合成高分子は名前のどこかしらに「ポリ」の表現があります。

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各種配合成分~防腐・殺菌剤と酸化防止剤~

国家試験でちょいちょい出る内容です。物質の名前と役割をしっかりリンクできていないと失点しますので気をつけて。

「防腐・殺菌剤」
使用途中でカビの発生や増殖されたらたまったものではありませんね。この自体を回避するために必要なのがこれです。防腐剤として古くかる代表的なものは「パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)」です。他には塩素系(塩化、クロロ、クロ、などの文字が入るので分かりやすいですよ)のベンザルコニウム塩化物などは殺菌剤として有効です。

酸化防止剤
香粧品は空気中の酸素により酸化(自動酸化)されて劣化しますので、これを回避するために酸化防止剤を添加します。ジブチルヒドロキシトルエンやブチルヒドロキシアニソールなど「ブチル」の文字が含まれるもの、「金属イオン封鎖剤」などをまずは覚えましょう。

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